「なぜなぜ分析は知っているけど、実際にやると途中で止まる」——これを解消する最良の方法は練習問題を解くこと。業界別シナリオで根本原因を見抜く力を鍛える 10 問を用意しました。
なぜなぜ分析の基本
「なぜ?」を 5 回繰り返して根本原因に降りる手法。詳細は なぜなぜ分析のやり方 に。
各問題は、与えられた問題に対して5階層の「なぜ?」を展開する練習です。人ではなく仕組み側に降ろすのがコツ。
練習問題(業務系)
問題1:会議が長引く
問題:定例会議が毎週、予定時刻を30分以上オーバーする
解答例:
- なぜ1:議題が決まる前に議論が始まっている → なぜ?
- なぜ2:アジェンダが事前共有されていない → なぜ?
- なぜ3:会議招集者がアジェンダを書く習慣がない → なぜ?
- なぜ4:会議招集テンプレートにアジェンダ欄がない → なぜ?
- なぜ5:会議運用のガイドラインに「アジェンダ必須」のルールが無い
→ 対策:会議運用ガイドライン整備、招集テンプレ刷新、アジェンダ必須化
問題2:報告書が読まれない
問題:書いた報告書を上司が読まずに「で、何が言いたい?」と聞き返す
解答例:
- なぜ1:結論が冒頭にない
- なぜ2:上司に向けた「結論ファースト」の習慣がない
- なぜ3:上司から「ピラミッド構造で書け」と明示的に指示されていない
- なぜ4:新人研修で報告書の書き方を学んでいない
- なぜ5:研修プログラムに「ビジネス文書の書き方」セッションが含まれていない
→ 対策:研修プログラムに「報告書の構造化」を追加、レビュープロセス導入
問題3:新人がすぐ辞める
問題:新人の2年以内離職率が30%
解答例:
- なぜ1:新人が「ギャップ」を感じている
- なぜ2:研修期間と配属後の業務に乖離がある
- なぜ3:研修内容が座学中心で実務を反映していない
- なぜ4:研修プログラムが10年前に作られたまま更新されていない
- なぜ5:プログラム更新の仕組みが組織に組み込まれていない
→ 対策:研修プログラムの年次見直しルール導入、現場メンバーをレビュアーに
練習問題(IT・開発系)
問題4:本番バグの多発
問題:本番リリース後のバグ件数が前月比2倍
解答例:
- なぜ1:QAで見つけられなかったケースが多い
- なぜ2:エッジケースのテストが網羅されていない
- なぜ3:仕様書にエッジケースの記述がない
- なぜ4:仕様書テンプレに「想定外パターン」セクションがない
- なぜ5:仕様書テンプレが10年前から更新されていない
→ 対策:仕様書テンプレ刷新、エッジケース必須化、テストレビュー強化
問題5:開発スピード低下
問題:機能リリースペースが半年前より40%遅くなった
解答例:
- なぜ1:レビュー待ち時間が長い
- なぜ2:レビュアーが他案件に取られている
- なぜ3:開発体制が拡大に追いついていない
- なぜ4:採用が後手に回っている
- なぜ5:人員計画が「過去の開発量ベース」になっており、成長を反映していない
→ 対策:人員計画ロジックに成長率を組み込む、レビュー SLA 設定
練習問題(EC・サービス系)
問題6:カート離脱率の上昇
問題:ECサイトで購入直前のカート離脱率が前月比+5pt 上昇
解答例:
- なぜ1:カート画面で離脱している
- なぜ2:送料が予想より高いと気づく
- なぜ3:商品ページで送料情報が分かりづらい
- なぜ4:送料表示がUI上で優先されていない
- なぜ5:UIガイドラインに「送料を購入前に明示」項目がない
→ 対策:UI ガイドライン更新、商品ページに送料計算機能追加
問題7:解約率の上昇
問題:SaaS の月次解約率が3%から6%に上昇
解答例:
- なぜ1:「サポートの対応が遅い」というアンケート回答が増加
- なぜ2:平均応答時間が30分→2時間に伸びている
- なぜ3:問い合わせ件数が増えているのにサポート人員は据え置き
- なぜ4:人員計画が「過去の問い合わせ件数の平均」ベースで、トレンドを反映していない
- なぜ5:人員計画の更新ルールに「月次トレンド反映」が組み込まれていない
→ 対策:人員計画ロジック改善、月次レビューサイクル導入
練習問題(営業・マーケ系)
問題8:成約率の低下
問題:新規アポからの成約率が30%→20%に低下
解答例:
- なぜ1:提案フェーズで失注が増えた
- なぜ2:先方の決裁者が「他社と比較したい」と言う
- なぜ3:当社の提案で「先方の独自課題」への言及が薄い
- なぜ4:提案テンプレが汎用的でヒアリング内容が反映されていない
- なぜ5:提案書作成プロセスに「ヒアリング結果の必須記入欄」がない
→ 対策:提案書テンプレ刷新、ヒアリング必須欄追加
問題9:広告のCTR低下
問題:Web広告のクリック率(CTR)が前月比-30%
解答例:
- なぜ1:同じクリエイティブを4週間使い続けた
- なぜ2:クリエイティブのローテーション計画がない
- なぜ3:CTR悪化を検知する仕組みがない
- なぜ4:ダッシュボードに CTR の前週比アラートがない
- なぜ5:マーケ運用ガイドラインに「CTRモニタリング基準」が無い
→ 対策:マーケ運用ガイドラインに CTR モニタリング基準を組み込む
練習問題(製造・物流系)
問題10:製品クレームの発生
問題:A製品の不良率が月3%に増加
解答例:
- なぜ1:表面のキズが多発している
- なぜ2:搬送中にぶつかっている
- なぜ3:搬送装置のクッション材が薄くなっている
- なぜ4:定期交換のスケジュールから3ヶ月経過している
- なぜ5:交換チェックリストにクッション材の項目がない
→ 対策:チェックリストにクッション材項目を追加、交換周期を明文化
練習問題を解くコツ
コツ1:必ず紙やテキストに書き出す
頭の中だけだと論理が飛躍しがち。必ず可視化。
コツ2:「人」のせいで止まらない
「担当者が不注意だったから」「経験が浅いから」で止まると、対策が打てない。仕組み側に降ろす。
コツ3:5階層で止まらないとき
「組織構造」「人間心理」レベルまで降りすぎると対策が打てない。「自分たちが手を打てるレイヤー」で止める。
コツ4:1本道で考えない
最初の「なぜ?」の答えが複数ある場合、それぞれの枝でなぜなぜを展開。ツリー型で広がりを持たせる。
コツ5:根本原因に対する「対策」まで設計する
なぜなぜ分析の本当のゴールは対策の実装。原因が分かって満足してしまうのが最大の失敗。
まとめ
なぜなぜ分析は書く回数で身につくスキル。10 問解くだけで、根本原因を見抜く感覚が一段上がります。
毎日 1 問のペースで続けると、3 週間で「仕組み側に自然に降りる」レベルに到達します。
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