「日本に電柱は何本ある?」「世界中のピアノ調律師は何人?」——一見答えようがない問いに、論理だけで概算で答える技術がフェルミ推定です。コンサル面接の定番として有名ですが、本質は仮説思考のトレーニング。やり方を解説します。
フェルミ推定とは
正確なデータがない問題に対して、手元の知識と論理だけで概算値を出す手法。物理学者エンリコ・フェルミに由来します。「日本のラーメン店の年間総売上は?」のような問いを、検索せずに5分で見積もる訓練です。
ポイントは「正確に当てる」ことではなく、「ロジックを組み立てて概算する」プロセス。仮説思考・分解力・数値感覚を一気に鍛えられます。
解き方の4ステップ
ステップ1:問題を「推定可能な要素」に分解
例:日本のラーメン店の年間売上 = 店舗数 × 1店舗あたり年商
ステップ2:それぞれを既知の数字で推定
- 日本の人口:1.2億人
- 100人あたりのラーメン店:仮に0.2店 → 24万店
- 1店舗の客単価:仮に1,000円
- 1店舗の1日客数:仮に50人
- 営業日:300日 → 1店舗年商:1,500万円
ステップ3:掛け算する
24万店 × 1,500万円 ≒ 3.6兆円
ステップ4:常識と照らし合わせる
日本の外食産業全体が約25兆円。ラーメンが1割で2.5兆円——けっこう近い。フェルミ推定としては合格圏。
ビジネスでの応用
フェルミ推定はクイズではありません。実務で「情報がない中で意思決定する」全場面で使えます。
- 新規事業の市場規模見積もり
- 採用面接で候補者の論理力を見る
- 営業先の見込み顧客数の試算
- 新サービスの収益シミュレーション
5つのコツ
- 掛け算で分解する(足し算より精度が上がる)
- 既知の数字を1つは持つ(人口、面積、世帯数など)
- 0が1個ずれても気にしない(オーダーが合っていればOK)
- 常識でファクトチェックする
- 時間制限を設ける(5分以内)
よくある失敗
失敗1:分解が雑
「ラーメン店の総売上=5兆円くらい」と直感で答えてしまう。分解しないと推定にならない。
失敗2:精度を求めすぎる
小数点まで出そうとして時間が溶ける。「だいたいこのオーダー」で十分。
失敗3:自分の数字を疑わない
途中で「人口比1%は多すぎないか?」と立ち止まらないと、最終値が大きく外れる。
鍛え方
毎日1問、身近なテーマで概算してみる:「東京の自販機は何台?」「ジムの会員数は全国で?」など。1日5分の習慣で、数値感覚と論理構築力が同時に鍛えられます。
就活でケース面接を受ける人は、最低20問は解いておくと当日の安心感が違います。
まとめ
フェルミ推定は、正解よりプロセスを鍛える訓練。要点:
- 掛け算で分解する
- 既知の数字を起点に推定
- 0が1個ズレても気にしない
- 常識でチェック
- 時間制限が大事
→ フェルミ推定は仮説思考の代表的な手法。全体像は仮説思考とは?情報が足りなくても前に進む思考法もあわせてどうぞ。